資金繰り表を作ろうとしても、必要な数字が社内の複数の場所に分かれており、なかなか作業を始められないことがあります。
通帳には過去の入出金が記録されていますが、今後の売上入金や支払いの予定までは分かりません。一方、会計データには売上や費用が記録されていても、実際に現金が動く日とは一致しない場合があります。
そのため、資金繰り表は表計算ソフトを開く前の資料収集が重要です。この記事では、中小企業やスタートアップが資金繰り表を作る前にそろえたい資料と、整理の手順を解説します。
資料収集の目的
資金繰り表では、実際の預金残高を起点に、今後の入金と支払いを時系列で並べます。利益を確認する損益管理とは異なり、現金がいつ入り、いつ出ていくかを把握するための資料です。
準備資料が不足していると、入金予定の重複、支払いの計上漏れ、借入返済の反映漏れなどが起きやすくなります。先に根拠資料を集め、対象期間と基準日をそろえることで、数字を更新しやすくなり、金融機関へ説明するときにも根拠を追いやすくなります。
預金残高を起点に、今後の入金、支払い、返済、一時的な支出の根拠をそろえます。
最初にそろえる5つの資料
1. 預金残高と取引明細
まず、事業で使用しているすべての預金口座について、同じ基準日時点の残高を確認します。通帳、インターネットバンキングの明細、会計ソフトへ連携した取引データなどが根拠になります。
複数口座がある場合は、一部の口座だけで作り始めないことが大切です。口座間の資金移動を入金や支払いとして二重に数えないよう、振替として区別します。
2. 売上と入金予定
請求書、売掛金の一覧、販売管理データ、契約書などから、今後の入金予定を整理します。確認するのは売上を計上した月だけではなく、入金予定日、金額、取引先、入金状況です。
すでに入金済みの請求と未入金の請求を分けることで、同じ売上を実績と予測の両方へ入れることを防ぎやすくなります。入金日が確定していないものは、確定した予定と区別して管理します。
3. 支払い予定
仕入、外注費、給与、家賃、カード利用分、継続契約など、今後発生する支払いを集めます。買掛金や未払金の一覧、請求書、給与資料、カード明細、契約書が主な確認資料です。
毎月発生する支払いと、一時的に発生する支払いを分けると更新しやすくなります。会計上の費用計上日ではなく、実際の引落日や振込予定日を確認することがポイントです。
4. 借入金とリースの返済予定
借入金返済予定表やリース契約の支払予定表から、今後の支払日と金額を整理します。借入返済は、元金と利息を分けて記録しておくと、資金繰り表と会計資料を確認するときに関係を追いやすくなります。
新たな借入を予測へ含める場合は、すでに実行された借入と、まだ確定していない計画を混ぜないようにします。資金調達の実現を前提にしすぎず、現在確認できる情報と計画上の数字を分けて表示します。
5. 税金、社会保険と一時支出の予定
納付書や通知書などを確認し、税金や社会保険料の支払予定を整理します。設備購入、採用に伴う支出、保証金、賞与など、毎月は発生しない支出も別に一覧化します。
税額や納付時期に個別の判断が必要な場合は、税理士等の専門家へ確認してください。資金繰り表では、専門家や公的な通知によって確認した支払予定を反映します。
整理の3手順
最初に、資金繰り表の基準日を決めます。すべての口座残高と資料を同じ時点に合わせ、どこまでを実績とするかを明確にします。
次に、実績と予測を分けます。実績は取引明細などで確認できる入出金、予測は請求書、契約書、返済予定表などを根拠にした今後の予定として整理します。
最後に、各数字の出所を残します。資金繰り表の備考欄や別の管理表に、請求書、契約書、返済予定表などの根拠を記録しておくと、翌月の更新や金融機関から確認を受けた際の説明がしやすくなります。
作成前のチェック
・事業で使用する預金口座をすべて含めているか
・口座間の資金移動を入出金へ二重計上していないか
・売上計上日ではなく入金予定日を確認しているか
・費用計上日ではなく支払予定日を確認しているか
・借入金とリースの返済予定を含めているか
・毎月の支払いと一時的な支出を分けているか
・実績と予測の境界が明確になっているか
・各数字の根拠資料を追える状態になっているか
最初から細かく作り込むより、まず預金残高と大きな入出金をそろえ、その後に不足する資料を追加する方が進めやすくなります。
まとめ
資金繰り表を作る前には、預金残高、売上と入金予定、支払い予定、借入等の返済予定、税金や一時支出の資料をそろえます。そのうえで基準日を決め、実績と予測を分け、数字の根拠を残すことが重要です。
社内に資料はあるものの、どの数字を使えばよいか分からない場合や、金融機関へ提出する形まで整理したい場合は、ココナラの「財務コンサルが銀行提出用の資金繰り表を作成します」でご相談いただけます。実績に加えて12か月予測を作成し、金融機関へ提出できる形に整えるサービスです。
本サービスは資金繰り表の作成と整理を支援するものであり、融資審査の承認や資金調達の実現を保証するものではありません。